〜舞台はアパレルメーカー『Ｋ．Ａ．Ｎ』。
■此処はアパレル産業でもトップクラスを行く大手企業『Ｋ．Ａ．Ｎ』。この会社では、普通の会社とは少し趣の異なるシステムで業務が為されている。
そのシステムとは、『ＴＥＡＭ分け』である。
■それぞれの『ＴＥＡＭ』内に営業部・企画部・経理部・宣伝部等が各々設置され、『君主』と揶揄されるチームリーダーの下、各社員が協力して商品の企画開発・販売にあたるというシステムである。
内閣の下に各省庁が存在するのを想像すれば、近いであろうか。
■『Ｋ．Ａ．Ｎ』の中でも大きな『ＴＥＡＭ』は三つある。『Ｋ．Ａ．Ｎ』の中でも主力製品となるビジネスマン向けのスーツやフォーマルウェアを扱う、曹操率いる『ＴＥＡＭ魏』。弱年齢層向けの商品を主体に扱い、社内でも徐々に発言力を強めている、孫堅率いる『ＴＥＡＭ呉』。そして、高年齢向けの介護商品などを主に扱い、売り上げはそこそこながらその人柄ゆえ慕う社員の多い劉備率いる『ＴＥＡＭ蜀』。
この他、合併・統合された零細企業、外注下請けや関連会社を含めれば、実に膨大な数の『ＴＥＡＭ』が存在するわけである。
■同じ企業のことであるから、当然人事異動などもある。が、一度所属した『ＴＥＡＭ』には、家族以上の絆が作られやすい。一度移動しても君主の命により引き戻されるケースが多く、今では『研修』『出向』の形を取ることが多い。この為、様々な出会いや思惑が生まれるのである。
〜ＴＥＡＭはそれぞれの色と野望を秘めている。
■ＴＥＡＭ分けという企業最大の特色が、今『Ｋ．Ａ．Ｎ』を内部崩壊の危機に陥れようとしている。各ＴＥＡＭが社内の覇権を巡り、対立するようになったのだ。
社内の規律を求め、敢えて会長を擁することで社内のトップに立つ『ＴＥＡＭ魏』と、それを良しとしない『ＴＥＡＭ蜀』、まったく違う立場から体制の若返りを求める『ＴＥＡＭ呉』。思惑が絡み合い、人と人の出会いが衝突を生み、衝突が出会いを生む。人の集う所には、必ず愛憎が渦を巻くのである。
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