龐統は、目の前の娘が発した言葉を噛み砕いているかのように、長い間沈黙していた。
 娘は異界から来たという触れ込みで、他の武将の何人かが目を掛けて(つけてとも言うが)おり、何かにつけ娘の傍に居たがっているのも知っていた。
 年若で、齢にして二十歳を越えてはおるまい。
 すんなりと伸びた肢体は健康そのもので、色は白く短い裾からちらちらと覗く足は目の毒と言ってさえ良かった。
 大きな瞳は長い睫に彩られ、黒々とした長い髪はほとんど癖もなくさらさらと風になびく。
 見た目もさることながら頭も良く、諸葛亮の話す小難しい説話にも、わからないながらも飲み込みは早く着いていけるほどだった。
 だからこそ、娘の言葉の意図が飲み込めずにいる。
 単純で、そうとしか取りようのない言葉を、龐統が何時までも口の中に含んでいるのは仕方ないことなのだ。
「……お返事を強請ってはいけませんか?」
 声も涼やかで耳に心地いい、と龐統は他人事のように思った。
 からかわれているのならいっそ気が楽だ。けれど、娘がそういう気質でないことも龐統はよくよく承知している。だから、やはり娘の言葉は本気のものなのだと取らざるを得ない。
 好きだ、と、自分を傍に置いてくれ、と、娘……はそう言った。
「お前さん、言っていることの意味がわかってるかい」
 龐統は敢えて返事を避けた。
 だが、は小気味いいほど真っ直ぐに龐統に言葉を返した。
「はい、私、龐統様のお嫁さんになりたいのです……厚かましいと思われるかもしれませんが」
 頬を染め、恥ずかしそうにしながらも、は龐統を真正面から見つめる。
 そのひたむきな目に、まるで目の奥が焼かれるかのような錯覚を覚え、龐統は兜のつばを深く下げた。
「何でまた、あっしなんか」
「……いけませんか」
 初めて不安げに揺れる声音に、龐統は横目でを盗み見た。
 自分の感情は信じて疑いもしないくせに、龐統から放たれるほんの少しの疑問でさえも、の心を傷つける刃と化すようだった。
 優しい、明るい娘だ。なるべく傷つけたくはなかった。
「お前さんには、もっと相応しい男がたぁんと居るさ。何もあっしなんかを選らばなくったって」
「私」
 龐統の拒絶の言葉に、は声を荒げて割って入る。
 声が泣きそうに震えていて、龐統は胸を痛めた。
「……私、龐統様に相応しくなりたいんです。どうしたらいいですか。何でもします、だから」
 胸にあてた拳が小さく震えている。
 そんなに強く握り締めては、爪が皮膚に食い込み傷つけよう。
 龐統は困惑してを見つめた。
 己の醜さは誰よりも自分がよく知っている。こんな醜い男の妻になりたいと願う酔狂の理由がわからない。
 何よりもう一つ、龐統にはを受け入れることのできない理由があるのだ。
 妻に、と願うのならば尚更の理由だった。
「こんなことを訊くのは何だが、お前さん、まだ男を知らないんだろう」
 突然話の内容が変わったことに、は驚いているようだった。が、すぐに気持ちを切り替えたようで、恥ずかしがりながらもこくりと頷いて返した。
 常ならば喜ばしいことなのかもしれない。何せ、生まれてくる赤子は必ず自分の種だという保障が増えたようなものなのだから。
 しかし、龐統は逆に気鬱になった。
 が処女ではなく、いっそ淫乱であってくれた方が良かった。
 それは儒学の教えとは反することではあったのだが、それでもその方が良かったのだ。
「……お前さん、夜になったらあっしの寝所に一人で来られるかい?」
 迎えをやっても良かったが、それでは後が何かと不便だった。悪い噂など立ててやりたくない。
 龐統とて、を憎からず思っていたのだ。
 気持ちは嬉しかったし信じられないほど心が浮き立ったが、なればこそを受け入れることはできない。己の姿形の醜さを差し引いてもだ。
 傷つけたくなかったから、早い内にを諦めさせねばならなかった。
 龐統の胸の内を知らないは、嬉し泣きの涙を滲ませて微笑んでいた。
 二重の意味で、龐統の気持ちは重かった。

 夜更けになり、扉を小さくコツコツと叩く音がする。
 開けると、が息を弾ませて立っていた。おそらく顔を隠す為に頭から濃い緑の絹を被って、目元だけを出している。それでもの可愛らしい美しさを隠せるものではない。
 あっしとは、目元だけだってずいぶん違うもんだ。
 龐統は、世を見渡す必要がなければ目元だって外に出したくはない。
 けれど今宵は、にすべて曝け出さなくてはならない。そうしてを諦めさせるのだ。
 は扉をしっかりと閉めると、絹を取り去って龐統に微笑みかけた。誰が見てもそれとわかる、恋する女が愛おしい者を見つめる目だった。
 何だって、あっしなんだろうね。
 蝋燭の火が、何処からか吹き込んでくる隙間風に煽られてちりちりと鳴いた。
 人前でこの覆いを取るのは何年振りだろう。
 龐統は何の前触れもなく、自らの顔を覆い隠す絹を取り外した。
 の目が大きく見開かれるが、驚きの声は上がらなかった。
 救われたようでもあり、後ろめたく落ち着かないようでもある。
 顔を逸らし、立ち尽くすと、は無言で進み出て龐統の足元に膝を着いた。
 龐統の指を握り、その甲に頬ずりをしてくる。
 の頬は温かく、柔らかかった。
「嬉しいです」
 の目元に涙が粒となって浮かぶ。
「……嬉しいです、初めて龐統様のお顔を拝見できました。私に、見せて下さったのですよね……嬉しい……」
 こんな醜い顔を見て、涙を流すほど嬉しいものなのか。
 恐ろしいの間違いではないか。
 龐統は苦い笑みを浮かべた。
 顔の覆いがないと言うだけで、これだけ心落ち着かなくなるものかと龐統は困惑した。我ながら情けないことだと溜息でも吐きたくなる。
「……龐統様」
 包まれていた手はに導かれ、その胸の膨らみに引き寄せられる。
 頬よりも尚柔らかい感触に、龐統は思わず手を強張らせた。
「……はしたない、と思われているかもしれません……でも私、龐統様に今夜呼んでいただけて、本当に嬉しかったから……」
 可愛らしい言葉に、龐統も思わずの頬に手を触れてしまった。
 無意識に差し出した手に驚き固まりつつ、所在無くておずおずと撫でてやると、はうっとりと目を閉じた。
 この顔が驚き恐怖に強張る様を想像し、龐統は憂鬱になった。
 優しく撫でていた手を下ろし、の手を振り払う。
「……ここじゃあ、何だ。奥に来てもらおうかね」
 突然変わった龐統の態度に、は戸惑いつつも急ぎ龐統の後を追った。

 寝所の灯りは先程の室よりも明るいほどだった。昼間のようとは言い過ぎだろうが、それでも互いの顔や姿を晒すのに不便はなかった。
 龐統は顔を背けるようにしていたが、は龐統の顔をじっと見詰めていた。
 よくもまぁ、そんなまじまじと見ていられるもんだ。
 半ば呆れ、半ば感心しつつ龐統は帯に手をかけた。どうせ今しばらくのことだと思うと、さっさとけりを着けてしまいたくなったのだ。
「ご覧」
 龐統は下帯を捨て去ると、に向き直る。
 は羞恥を覚える間もなく、顕になった龐統の股間に目が釘付けになった。
 龐統の体は決して大きくはない。居並ぶ丈夫らの中では、むしろ小さいと言ってよかった。体躯も軍師文官としての高い能力に比例している。
 だが、その股間にある男の根は体に似合わぬ巨大さを見せ付けている。
 巨根というのだろうが、それにしても大き過ぎた。勃ってもいないにも関わらず、その尖端は腿の半ばに届こうかというほど長く、その太さも細めの柱ほどもある。幹の側面にはぼこぼこと窪みが生じており、痣のような紫に染まっていた。
 いっそ笑いが込み上げるほどの、目を疑うような逸物だった。
 初めて見る男の肉が、これほど醜悪でおぞましいものになろうとは、と龐統は密かにに同情した。
 しかし、ははっと我に返ると、顔を真っ赤にして俯いただけだった。
 おや、と龐統が訝しく見詰めていると、は慌てて衣を脱ぎだした。あまりに予想外で、これには龐統も慌ててしまう。
「お待ちよ、何してるんだい」
 は情けなさそうに龐統を見返し、己が身をきゅっと抱き締めた。脱ぎかけの衣の間から覗く乳房が押し寄せられ、歪んで盛り上がる様が酷く扇情的だった。
 龐統は慌てて目を逸らす。は龐統の様子には気付かなかったのか、情けなさそうに俯いていた。
「……こういう時は、どうしたらいいんでしょう……私、知らなくて……」
 そうじゃあないだろう。
 龐統は喉元まで出掛かった声を飲み込んだ。
 初めてなのだ。本当に初めて見るから、龐統のものがどれだけ異様なのかわかり得ないのかも知れない。
 そう思い直した龐統は、を牀に導きそこに腰掛けさせた。
 素っ裸では具合が悪いが、見せるのが目的で脱いだものを着直すのも何だかな話だ。
 結局袷を肩から掛けることで妥協し、龐統は改めてに向き直った。
「……あっしがお前さんを呼んだのは、こいつを見せるためだったのさ。今まで、どんな女も受け入れられなかった。大き過ぎるんだ。だからあっしは今まで嫁を迎えずに来たし……本当のところはね、嫁の来てがなかったのさ」
 こんなものを挿れられたら、どんな女でもくたばっちまうからね、と龐統は付け足した。
 実際、女に見せて悲鳴を上げられたことは一度や二度ではない。春をひさぐ商いに身をやつしている女でさえ、龐統のものを受け入れることはできなかった。
 醜い顔のせいで世間に受け入れられず、醜い肉のせいで女に受け入れられない。
 龐統が長く世に出なかったのは、二重の引け目があったからだ。どちらも決して龐統の罪ではない。望んでそうなったわけがあろうはずもない。けれど、どうしてもその引け目は拭い切れなかった。
「わかったかい。わかったら……」
「嫌です、わかりたくありません」
 の声はきっぱりとしていて、声音に何が何でも引くまいという頑なさがあった。
 龐統は困ったようにを見た。
「私、龐統様が好きなんです。飄々として居られて、でも優しくて、どこか悲しいところがある龐統様が好きなんです。お嫁さんになれなくてもかまいません、せめて龐統様のお傍に居させて下さい」
 その覚悟がなければ、打ち明けたりなどしなかった。
 だが、の決意はますます龐統を困惑させた。
「そりゃあね、あっしだって、嬉しくないっちゃ嘘になる。お前さんはそんなに綺麗で若くて……だがねぇ、だからこそ、あっしも辛くなるのさ。あっしのコレは決して飾りやおもちゃじゃない、生身の肉なんだからね。お前さんが傍に居られちゃ、はっきり言ってあっしにゃ毒だ」
 の顔が白く引き攣る。
 傷つけたかもしれないが、それも所詮は今だけの話だ。に想いを寄せる将は多い。何れかの美丈夫がいずれの心を射止め、の傷を癒してくれるだろう。
 の紅い唇がきゅっと噛み締められる。
 出て行くか声高に詰られるかのどちらかだろうと、龐統が目を逸らした一瞬だった。
 は龐統に飛び掛り、股間にある肉を握り締めた。
 ぎょっと目を剥く龐統とは裏腹に、は睨めつけるように龐統の根を見詰め、舌で亀頭に触れた。
 熱く、滑った感触に龐統の肩が跳ねる。
 久々に他人に触れられることで、龐統の肉はみるみる硬度を増し膨張した。窪んでいた痣は逆に膨らんで疣のようになり、とても人のものとは思えぬ醜悪さを誇った。
「私、龐統様が思っているほど子供ではないし、それなりに知識もあるんですよ」
 肉幹をこする手は止めず、は龐統を見上げた。
「今は龐統様に抱いてもらえなくても、それでも龐統様を慰めることぐらいなら、私にだって」
 言うなり先端に舌を這わせる。
 大き過ぎて亀頭を咥えることはできないようだ。唇を吸い上げるようにして貼り付け、あちらこちらを舐め上げるの手管は未熟だが、龐統のものは喜び震えている。
 何より、のような娘が懸命に奉仕をする姿に、龐統もまた煽られる。抱けないという気持ちに変わりはないが、煽られて耐えられるほどに聖人君子でもないことを龐統は自覚している。
 の唇が尖端に張り付き、強く吸い上げる。
 腰が砕けそうになる快楽に襲われ、龐統は呻き声を上げた。
「気持ちいいですか? 少しは、気持ちよくなれますか?」
 不安げな声だったが、の目は情欲に濡れている。よだれを垂らすように先走りの汁が滴った。
 敵わない、と龐統は自嘲した。
 自ら墓穴を掘ったようなものだ。諦めさせようとしてしたことが、すべて裏目に出てしまった。
「あっしも、まだまだだねぇ」
 龐統は身を起こすと、の体を倒した。
「やっぱり、抱きゃあしないけどね……代わりに、少ぅし無茶をするからね」
 の襟を寛げると、白い胸乳が転び現れる。
 恥ずかしいのか頬を染めるに、龐統はにこりと微笑みかけた。
 双丘の間に醜悪な肉を挟みこみ、尖端をの口元に押し付ける。
「舐めてくれるかい?」
 龐統の言葉に、はおずおずと頷き、尖端に舌を這わせた。
「そんなら、動かすからね」
 龐統は、の胸乳をかき寄せて己の肉を挟むと、前後に腰を揺らめかせた。肌理の細かい白い肌に赤黒い肉棒が埋め込まれ、紅い唇を嬲っている。
 目から脳を焼く光景に、龐統の喉が鳴る。
「……あぁ、どうも……いけないね。すぐ、いっちまいそうだ……」
 の目が切なげに歪む。龐統の手に自分の手を重ね、激しく揉みしだいた。
 龐統の手の平に、固くしこった小さな実の感触がある。
 肉刺の浮いたところに引っ掛けるようにしてやると、の目が固く閉ざされた。心地いいのと初めて知る悦の激しさの苦渋に挟まれて、溺れているような表情を浮かべていた。
「……いくよ……口を、開けてくれないかね」
 摩擦の音が早く激しくなり、は溺れるものが空気を求めるように大きく口を開いた。
 押し出されるものが溢れ出すように、勢い良く射精する。
 白く濁った粘り気の強い汁が、の口や頬、顎に叩きつけられた。
 汚してしまった、という後悔は、汚してやった、という征服感に摩り替わる。
 当のには嫌悪感は微塵もない。荒く息を吐いているが、上に乗り上げている龐統を押し退けようともしない。
 たらたらと流れ落ちる雫を、は陶然として指で拭う。舌を差し出して舐め取る様は、卑猥以外の何者でもなかった。
 の肌がひくひくと引き攣っているのを見て、龐統は微かに笑う。
「今度は、あっしの番だね」
 言うなりの足元に回り、履いたままの濡れた下着の上から舌を這わせた。
 の体がびくりと跳ねる。
 そのまましばらくざりざりと音を立てて舐めていたのを、今度は下着の隙間から舌を忍び込ませて直接舐め上げる。
「ん、ふ……あぁっ……」
 が身を捩り、声を立てた。
 狭い隙間に舌を強く差し込み、かき回すように動かしてやるだけで、の声も体も面白いほど簡単に蕩けた。
「ほっ、龐統、様ぁっ……!」
 呼びかけられている気がして顔を上げると、は手を伸ばして龐統を招く。
「……龐統様の、が、欲しいです……」
 潤んだ目で見詰められ、しかし龐統は踏ん切りをつけられなかった。舌で直接触れて更に確信したが、の中は予想以上に狭い。
「……その内、だね……」
 の目に失望が走る。だが、やはりに無理はさせられなかった。
「……じゃあ、せめて……」
 が身を起こし、再び龐統のものに唇を寄せる。
 そのまま仰向けにさせると、龐統はの足を引き上げて下着を外した。最早隠すものもないの秘部に、龐統は思う存分舌を這わせる。
「あぁ、や……」
 くぐもった声が龐統の肉を刺激し、揺り動くものがの顔を嬲る。の顔に醜い肉が擦り付けられ、先走りの汁が汚していく様を思うと、龐統のものはそれだけで強く脈動を繰り返す。
 が『嫌だ』と言う箇所を丹念に貪ると、の口からすすり泣くような声が漏れ始めた。
「おかしく、なっちゃいま、何で、何でこんな……!」
 後はすべて意味も持たない嬌声の羅列となり、時折思い出したように龐統のものを強く擦ったり舌を滅茶苦茶に絡ませて遣すだけになった。
 戯れに指を一本、ゆっくりと沈ませてゆくと、痛むのかの体がぴくんと跳ねた。
「ひ、あ、あっ、あっ、あぁっ!!」
 龐統の指が根まで沈むと、一際甲高い声が上がり、の指が龐統のカリを強く擦った。
 それで龐統も達し、の顔に再び白濁したものが飛び散った。

 濡らした布で顔を拭うと、は我に返って羞恥心に身悶えていた。
 どうも肉欲はかなり強い方らしい。
 これはひょっとすると、本当に龐統のものを受け入れられるようになってしまうかもしれない。
 いや、なら無理にでも受け入れ馴染んでしまいそうだ。
 そうなればなったで、何処かに後妻に入るのも難しくなるだろう。龐統の巨根に馴染んだ後で、他の男のもので満足できるとは到底思えない。
―――やれやれ、こいつは長生きする必要が出てきたかもしれないね。
 は龐統の胸に縋り付くと、幸せそうに微笑んで目を閉じた。
「……次は、もっと上手にできるようになりますね」
 積極的な言葉に、喜ばない男が居るならお目にかかりたいものだ。
 しばらくはやっかみで大変な目に遭いそうだが、それもまた良き妻を迎える代償と言うなら耐えねばならぬだろう。
 腕の中のの体は温かく、柔らかく、もう二度と手放せなくなってしまっただろうことを龐統は自覚していた。

 余談である。
 龐統が受ける予定だったやっかみの嫌がらせは、その兆候すら見えず龐統を不思議がらせた。
 戦に影響してはと恐れ隠そうと決めたとの婚約が、劉備から大々的に披露されてしまったのだ。すぐにも嫌がらせを受けると身構えていた龐統は、予想外の展開に拍子抜けしていた。
 実は、こっそりと婚約の理由を尋ねられたが、龐統の人柄の他にも『何せ龐統様はお見事なものをお持ちの方ですから』と要らぬことまで口走ってしまった。婚約話のついでに龐統の巨根のことまでもが広まってしまい、龐統と馴染み深い諸葛亮に事実を確認した諸兄からまた話が広まり、誰もが龐統に恐れを生して逆らおうとはしなくなった、とこういう話だ。
 巨根という奴は、女にとっては実害であり男にとっては脅威なのだということを良く示した事柄といえよう。


  終

ヒロイン/短編INDEXへ→