貂蝉が王允の遣わした策だったと知り、董卓は手元に置く美女を自ら探してくるようになった。
 今、最も董卓の寵愛の深いのがである。
 いつも口元に微笑を浮かべ、董卓の気が沈む時には歌や舞を、牀では娼婦を凌駕する技を披露し董卓の心を独り占めしていた。
「董卓様のお顔、とても男らしくて綺麗」
 突然口を開いて出たのはそんな言葉だった。
「ははは、こやつめ、またわしにおねだり事か?」
 現実を知るものならば到底口にはしないだろう褒め言葉だが、いつものことなので董卓も慣れたものだ。
 はにっこり笑うと、腰掛けている董卓の膝の間にするりと入り込む。
 腰や腿で逸物に微妙な刺激を与えながら、上目遣いに董卓を見詰める。
「あのね、ね、あの建物もう古くて見るのも嫌になっちゃったの」
「……おお、あれか。ならば、打ち壊して」
 董卓がすぐにも指示を出そうと太い指を掲げようとすると、はその手を取って自らの胸乳に押し付けた。
 柔らかく、弾力に富んだ肉の感触に、董卓の目がいやらしく緩む。
「あのね、ね、あの建物をの好みに建て替えて欲しいの」
「お前の好みに? しかし……」
 渋る董卓に、はぐいぐいと体を押し付ける。
「お金だったら、持っている連中に出させればいいじゃなーい? あの例の貴族、董卓様の悪口言ってたんだからー!」
「何っ!!」
 激憤する董卓の頬に、の舌が這い、耳元に滑る。
 その感触がもたらす悦に、董卓は黙り込んだ。
「……だからね、董卓様。あいつを打ち首にして、その財産でのお願い、聞いて?」
 一石二鳥って言うんでしょ、教えてくれたこと、ちゃぁんと覚えてるんだから。
 嘯きながらも、完全に董卓の体の上に乗り、腰を揺すぶる。逸物に振動が伝わり、董卓は生唾を飲んだ。
「ねぇっ、ねぇ、おーねーがーいー」
「わかったわかった、お前の好きにするが良い」
 途端、は飛び上がって喜び、董卓に抱きついた。
 長椅子の上に倒れ掛かった董卓が、笑いながらを見上げると、の目は茫洋として熱く潤んでいた。
「後ね、もう一つ、お願いがあるの……」
 裾を捲り上げると、の白い下腹が現れた。
「董卓様のたくましいのが、ここに欲しいの……今すぐ」
 外では日の光が燦々と輝いている。窓から差し込む白い光が床に落ちているのも見て取れた。
「……駄目?」
 紅い唇が裾を噛む。
 董卓は、我を忘れて飛び掛った。

 戦で家族を亡くした子供達に孤児院を建て、悪辣非道を繰り返す貴族や高官に容赦なく血の鉄槌を下す。
 暴君・董卓の妻でありながら国の賢母と謳われる、のある一日だった。

  終

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