は、曹丕の武器に興味津々だった。
 どうやって二つに分かれるのか、またどうやって一つに戻すのか。
 普通に考えれば、固定できる金具があるのだと見るのが妥当だろうが、あの素早い動作からなる武器の変形は、磁石説を破棄し得ない強力な理由だろう。
 二本の筆を繋げ、その合わせ目を握りこんでみる。
 細い筆だから何とかなるが、振り回せば持ちにくいことこの上ない。
 これで鍔迫り合いもこなしているわけだから、余程強力に固定していなければ嘘だろう。
 磁石説が弱いのはこの点が引っ掛かるからだが、ならばいっそ電磁石説を、しかし曹丕が持つのは氷属性だったような。
 電磁石ならば雷属性、一歩譲って風属性だとうんうん唸っていると、真後ろから気配がする。
「何をしている」
 不機嫌そうな声に慄いて飛び退れば、予想通り曹丕が、これまた不機嫌そうな顔をしてを睨め付けていた。
 隠し事は許さん、と言った空気が曹丕を取り巻き、悲しいかなはこの威圧感に滅法弱かった。
 戦乱の世を統べらんと欲す覇王の血統と、現代育ちとは言え真・庶民の純血の差だろう。生まれながらにして出来たこの差は大きい。
 包み隠さず正直に申し述べると、曹丕は手にした滅奏を改めて見下ろした。
「……知りたいか」
「できれば」
 教えてくれるのかとわくわくしながら尻尾を振っている気なに、曹丕は口元を歪めて笑った。
「先に一つ、お前が教えてくれるのなら教えてやらぬでもない」
 曹丕が交換条件を出してきた時は、ろくなことにならない。
 曹植の七歩詩の件を知っていながら、はこの時気付けぬままでいた。

「さぁ、教えてくれ」
 曹丕が笑っている。
 だが、は答えることが出来ない。
「何故、このように締め付けてくる? 滑らかに動くよう、しとどに濡れているというのにおかしいではないか」
 最奥まで突きこんでいると言うのに、更に奥に押し込もうと曹丕が腰を突き出す。
 は喘ぐように仰け反り、曹丕の肉をきつく締め上げた。
「さぁ、教えてくれ」
 答えられるわけがない。
 膝に力を篭め、何とか曹丕の蹂躙から逃れようとするのだが、曹丕がそれを許すはずもない。
 ついでとばかりに膝を抱え上げられ、濡れた肉の繋ぎ目を眼前に晒された。
「い、や……」
「何が嫌なものか。さぁ、早く教えるがいい。でなければ、一生このまま埋め込んでおく」
 冗談には違いないが、曹丕ならば本当にしかねない気がした。変に素直なところがあるのだ。
「お、教える、教えます、から……!」
「から?」
 一瞬間を空け、微かな声が曹丕を強請った。
 曹丕は鮮やかに笑い、に口付けを落とすのだった。

  終

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