馬超の槍を弄っていたら、当の本人に見つかってしまった。
「……何をしている」
 愛用の槍に触られて、馬超はかなり不機嫌そうだった。
 これだけが戦場での命綱なのだろうから、勝手に触られて不機嫌になるのも分かる。
 分かるが、は馬超の恋人なのだ。少しぐらい、構わないではないかと思ってしまう。
「ちょっと見てただけ」
「嘘を吐け、触っていただろう」
 確かに触ってはいたが、ほんの少し、指先で槍に施された装飾のでこぼこをなぞっただけだ。何もそこまで怒らなくてもいい。
「……ごめんなさい、もう触らないから」
 それでも、悪いのは自分だからとぐっと不満を飲み込んだ。
 現代人のには物珍しいだけの槍だが、馬超にとってはかけがえのないものに違いない。自分の場合に当てはめて考えたら、文句を言えた義理ではなかった。
 が出て行こうとすると、くん、と後ろに引っ張られた。
 引っ掛けてしまったかと後ろを見遣ると、いつの間にか馬超の指がの上着の裾を摘んでいる。
「……その、一度持ってみるか」
 顔を赤らめている。
 己の短気を恥じ、に譲歩してくれているのだろう。
 呆気に取られていたも、素直に頷いて馬超の傍らに寄り添った。

「……って、いい話で終わると思ったのに、何なの、馬鹿っ!」
 が半べそをかきながら詰るも、馬超は気にした様子もない。
「ちゃんと持ってないと首が絞まるぞ」
「うわぁん、この馬鹿ーっ!」
 重量挙げに失敗した選手よろしく、両手で槍の軸を支えたままは床に引っくり返っている。胸の上辺りに槍の柄が食い込むのだが、重い上にバランスが上手く取れない。
 退けられないまま、引っくり返った亀よろしく起き上がれないでいた。
 それをいいことに、馬超はのスカートをまくり上げ、顔を埋めている。
 足の間からひっきりなしに聞こえる水音と、神経を焼く悦がを責め立てていた。力が抜けそうになるのを堪えて必死に槍を握るが、段々と腕が痺れてきた。
「やだぁ、もう、やだっ!」
 うぇぇ、と泣き言を漏らすに、を弄ることにのみ意識を集中していた馬超が顔を上げた。
「……待っていろ、今、退かしてやるからな」
「は、早くしてよ!」
 すぐに退かしてくれると思ったのに、馬超はなかなか退かしてくれない。
「一瞬だけ、頑張っていろ」
 何のことだと首に力を篭めて持ち上げれば、馬超は股間を晒して挿入準備中だった。
 たわけ、と怒鳴りそうになったは、しかしすぐに全身を貫くかのような衝撃に声を失った。

  終

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