専務室は個室になっている。
なっているとは言え、会社の中に在ることには変わりない。
日も未だ高いとあっては、誰が訪ねてきてもおかしくはなかった。
高価そうな色の深い机に、薄桃の爪が食い込んでいる。
引き剥がされ、痛々しい音が響いた。
椅子がぎしぎしと鳴っている。
「誰か、呼ぶか」
耳元に囁かれる言葉に、は激しく首を振る。
「今呼べば、お前が俺を咥え込んでいる様を晒すこととなる。机が邪魔で、ここは見えぬかもしれんが、な」
秘裂に呂布の指が滑り込んでくる。
それだけで体が震える。
だのに、呂布は飽き足らず、の朱玉を嬲るように弄った。
「震えているな。……嬉しいか」
誰が、そんなおめでたいことを考えるものか。
荒い息を吐き、侮蔑の言葉を叩きつけてやるべく呼吸を整えるを、呂布は容易く乱した。
「啼け。つまらんだろう」
膝裏を抱え上げられ、揺さ振られる。
少しでも衝撃をやり過ごそうと、肘掛に手を着く。
しかし、呂布は腰を浮かしの腰を引き摺り下ろすことで、尚激しい動きを成した。
机の前の床には、決裁を求めて持ち込んだ書類がそこかしこに飛び散っていた。
敷き詰められた絨毯の濃い色と相まって、白い書類は無残に見えた。
呂布は自分が達きたい時に好き勝手に達し、の膣に吐精した。
ピルは飲んでいたから、妊娠の不安はない。
けれど、放たれた精はじんわりと染み出しの悪寒を誘った。
早くトイレに行って始末したい。
服の乱れを直すと、は床に散らばった書類を拾い集め始めた。
膝を付き、背筋は伸ばす。呂布に尻を向けぬよう、細心の注意を払った。
以前、書類を撒き散らされた時に呂布に尻を向けた為、そんなに俺を誘いたいかという理不尽な理由で犯された。
記憶が生々しいだけに、恐ろしかった。
すべて拾い集めると、呂布の机の端に置く。
「可愛げのない女だ」
そんなものは、生憎持ち合わせがない。
一礼して立ち去ろうとすると、呂布に引き止められた。
「清めていけ」
眉を顰めるを、呂布は愉しげに見ている。
は呂布の傍らに回りこむと、精液と愛液に塗れたまま項垂れている呂布の肉に舌を這わせた。
満足そうに哂う呂布の顔が目に留まる。
噛み切ってやろうか。
不穏な考えが過るが、それでただで済むとも思えない。
また、噛み切れるような矮小な肉でもなかったから、妄想として流すより他なかった。
生臭い汁をすべて舐め取って綺麗にすると、は立ち上がった。
呂布の手が素早く回りこんで、の体を戒める。
「……何故、俺の言うがままにする」
苛立ったような声だった。
は無言を守る。
一度穿いたショーツを引き摺り下ろされ、再び呂布の肉を咥え込まされる。
眩暈に似た感覚に、吐き気を覚えた。
「答えろ、……何故だ」
苛立っているとはっきり分かる声に、は気怠げに目を顰めた。
「答えろと言うのが、分からんか」
机の上に寝かせられ、好き勝手に突き込まれる。
膣の中で放たれた精が、ぐちゃぐちゃと音を立てた。
「」
苛立ちの中に、怯えが含まれている。
愉悦が込み上げたが、表情には出さなかった。
呂布が答えを得ようと懸命になればなるだけ、は自分の心を凍らせるべく怨嗟の声を胸の内に響かせた。
私のことなんか、何とも思っていないくせに。
貴方の胸の内は、いつでも貂蝉のことで一杯のくせに。
私がどれだけ貴方を想っているか、気付きもしないくせに。
だから、一生答えてなどやらない。
貴方も私と同じように、一生孤独で居るといい。
そうしたら、私と貴方は同じでしょう?
同じ苦しみを抱く、同類になれるでしょう?
涙は悦に紛れ、呂布に気付かれることもなく静かに散った。
終