辟易する。
は眉を顰めて孫悟空を睨め付けた。
当の孫悟空は平気の平左で、の視線をむしろ趣深げに受け止める。
「な、悪いようにはしねぇよ」
にまにまと人の悪い笑みを浮かべる孫悟空だったが、にしてみれば囚われた今の状態そのものが『悪い』のだ。
夜が更けたとわざわざ宿屋で休憩を取らせてくれるのは有難いと言って良いのだろうが、それすら遠まわしな脅迫に思えて鬱陶しい。
「清盛なんて人に仕える気はありません。何度言ったら分かるの」
「そう、つれなくしなさんなって。あんただって、この世界がこんなじゃなければ敵の兵士斬りまくってたんだろ? 同じことだって」
の視線に、更に険が含まれる。
悟空の言っていることに間違いはないかもしれない。
ないだろうがしかし、は無意味な愉悦の為に戦ってきたのではないのだ。
天下を統一する為、統一して己が主の元で穏やかな世を天に与える為に剣を取った。
遠呂智や清盛達と一緒にされては、多大な迷惑だ。
「私は、お前達とは違います」
「違わねぇって」
「違います!」
最早視線を向けるのも無駄と割り切り、は悟空から視線を逸らした。
「同じだろ」
異様な気配に外した視線を投げ掛ければ、の目の前に醜悪な色をした肉があった。
人のものよりも幾分か黒く、そのわずかな差が却って『異物』としての恐怖をに与えた。
飛び退って逃れようとするの前に、同じ肉が立ち塞がる。
「同じってことを、教えてやるよ」
足首を掴まれ引き摺り戻される。
足の間に顔を突っ込まれ、は反射的に悲愴な悲鳴を上げた。
「いやっ!」
その口に、異形の肉が押し込まれる。
一気に根元まで挿入され、は喉を突かれて激しく咽た。
どのような剛力か、はたまた不可思議な技の為せる故か、体を強張らせて暴れるの衣服は軽々と剥かれていってしまう。
「上も下も涎垂らしまくってさぁ。そんなに美味いかい?」
の頭は両手でがっちりと抱え込まれ、膣口を突くかの如く挿入を繰り返されている。
膝まで下ろされた下着がの動きを柔らかに束縛し、その上で悟空の手と舌で戒められていた。
「ふぐっ!?」
の体がびくんと跳ねる。
「胸、好きかい?」
いつの間にか更に一人増えていて、の両乳房を揉みしだき、舌を這わせて吸い上げる。
固くしこった先端を舌先で弾かれると、の喉から苦痛を伴わない声が漏れた。
「胸が好きなんだな」
「もっとしてやれよ」
「あいよ」
同じ声が一様に語り合う。
異常な状況に次第次第に眩暈に襲われ、は我を忘れていった。
「お」
舌が悟空の先端を擦る。
動きが鈍ったところを吸い上げられて、悟空は快楽から呻き声を上げた。
「……調子出てきたじゃないの」
秘裂を弄っていた悟空が顔を上げ、いきり勃つ肉をの尻に擦り付ける。
ひくひくと震える尻は、まるで早くとせがんでいるようだ。
悟空は口の端を歪めて笑い、ゆるゆるとの中に入り込んでいく。
「ふ、ぁ」
の体が大きく震え、咥えられた悟空の表情に耐え難い悦を覚ることが出来る。
下に回りこんで胸を吸っていた悟空も、堪らなそうに眉を顰めた。
口を閉ざせなくなったは、それでも唇を擦り付けるようにして悟空のものを離さない。後ろから突かれて、艶やかな声が途切れることなく上がった。
「おいおい、誰に仕込まれたんだ?」
「武将って連中は、よっぽどコッチの方も好きらしいや」
「ま、嬉しい誤算ってとこかもな」
体を入れ替え、今度は下から突き上げられる。
四肢に力が入らなくなって崩れ落ちたは、悟空の腰が跳ね上がるままに快楽を受け止めざるを得なかった。
「あ、やっ、駄目!」
「おぅお、敏感だこと」
後孔の襞に触れられただけで飛び上がるに、悟空は嬉しげに笑みを浮かべる。
「こりゃ、初めてじゃないな……慣らすのも手間が掛かんなくて、有難いこっ、た」
「ひ」
唾液で濡れた指がの後孔を抉る。
「……大丈夫、すぐに慣れるようにしてやっからよ」
悟空の言う通り、そこを突かれるのは初めてではない。
更に、悟空の指がの後孔を細やかに揺する度、これまで味わったこともないような熱と衝動がに襲い掛かっていった。
「あっ、あっ、あっ……や……い、やっ……」
「嫌かい」
悟空の指が引き抜かれると同時に、の絶叫が響く。
「やぁ、抜いちゃ、嫌っ!」
ヒュウ。
軽い口笛がを陵辱する。
けれど、今のにはそれすら心地良い責め苦に過ぎなかった。誘うように掲げられた尻は、物欲しげに揺れている。
三人の悟空が顔を見合わせ、声もなく笑った。
「分かった分かった……今、指よりイイもんくれてやるからよ」
こくこくと頷くの顔は、快楽に焼かれてえもいわれぬ艶を放っていた。
顔に猛る熱い肉を押し付けられると、は何の前置きもなく口に含む。激しく吸い上げ、しゃぶる様は淫女そのものだった。
「術が効き過ぎたか?」
首を傾げる悟空は、しかしまんざらでもない様子でを見詰める。
「なぁ、さんよ。清盛のおっさんとこ、行ってくれるよな」
の目にわずかな理性の光が戻る。
「ふわ、あぁ、あっ、んんっ!」
途端に揺すられ、突き上げられる。ようやく取り戻した理性の光は、悦の涙に転じて散った。
「なぁ、行ってくれるだろ?」
「清盛のおっさんとこに付けば、いつだって俺『達』が相手してやっからよ」
「あんたの相手は所詮『一人』だろ? こんな気持ちいーこと、逆立ちしたって出来ないぜ?」
は沈黙して答えを返さない。
返せない。
押し黙ったまま体を細かに震わせているに、悟空は軽く肩をすくめた。
「まぁ、いいか」
同時に再開される愛撫に、は声を殺せず高らかに啼く。
「明日から毎日、頑張って『説得』させてもらうからな、サン」
にやりと笑う悟空に、は何も言い返せなかった。
ぞくぞくして、溜まらなく狂おしく欲しくて仕方がなくて、押し込まれた肉を貪るように締め上げた。
終