前日夜にごみを出すという非道を犯し、は陸遜と件の裏庭に立っていた。
目をそばめて何もない空間を見遣る様は、には見えずとも理解は出来る。
そこに、あちらの世界への入口があるのだ。
「……」
促され、は陸遜と繋いだ手を見る。
腰に巻かれた紐は、固く二人を繋ぎ止めている。
背中の登山用のリュックには、完から貰ったプレイヤーやファイル、持ち込んでも問題が少なそうな嗜好品を詰め込んだ。
紐は、このリュックの重量対策だ。
家にあったデイパックでなく登山用のリュックをわざわざ購入したのも、陸遜への負担を減らせるように考えてのことである。
但し、保証の限りではない。
「行こうか」
が一歩前へ出る。
「違いますよ」
陸遜が、合わせて一歩前に進んだ。
「帰るんです」
の背中を押すように腕を回す。
跳ぶ。
そして、二人の姿は掻き消えた。